「石田秀樹」は、3つの基本政策、持続可能な財政への転換、「音楽のまち Chigasaki 」構想、平和都市構想を提案します。「誇りを持てる我がまちを後世に残したい。それが私の想いです。」

「認知症先進都市」構想

  • HOME »
  • 「認知症先進都市」構想

厚生労働省の推計では、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると言われています。
市内では様々な診療科で診察が行われていますが専門医と呼べる医師はいません。市役所、保健所、地域包括支援センター、介護事業所、家族会など連携も始まったばかりです。
 ①認知症専門医を育成する
 ②老いに寄り添う生活介護を行う
 ③認知症になってもいい社会をつくる
という、3つの目的を達成することを目指して、「認知症先進都市構想」を推進します。
家族会や介護現場の知見を医療や社会全体に広げていくプロジェクトです。


認知症先進都市構想

認知症先進都市構想とは、認知症の患者と家族をみんなで支えるまちを目指す取り組みです。
医療、介護、社会の3つの領域において施策を設定しました。

  • 【医療】認知症専門医を育成し、正しい診断と治療を行う
  • 【介護】老いに寄り添う生活介護を行う
  • 【社会】認知症になってもいい社会をつくる

認知症とは

●症状と病名
次のやりとりをおかしいと思いますか?
  患者:「頭が痛いんですけど」
  医者:「それは頭痛ですね」
この医者の回答はおかしいと思うはずです。その理由は「頭痛」が病名ではなく、患者さんが訴えた症状を言い換えているにすぎないからです。

次のやりとりはどうでしょうか?
  患者:「最近物忘れがひどいんですけど」 
  医者:「それは認知症ですね」
この会話には違和感を感じない人は多いと思います。しかし、違和感を感じなかった人は認知症への理解が不足していると認識してください。実は、「認知症」という言葉は「頭痛」と同様、「病名」ではなく「症状や状態」を表す言葉なので、違和感を感じないといけないのです。

●痴呆と認知症
認知症とは、「一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会活動に支障をきたすようになった状態」をいいます。病名ではなく状態です。
昔は、認知症は「痴呆症」と言われていました。この「痴呆」(ちほう)という言葉が侮辱的であるとされ、「認知症」へと名称が変更されたのですが、それは2004年のことでした。

「ボケ」という言葉は、色ボケ、欲ボケ、寝ボケる、時差ボケ、ボケとつっこみといった使われ方をしますが、私はどちらかというと愛嬌というか、親しみを込めた言葉のように感じます。
例えば「あの人ニンチじゃない?」という言葉と「あの人ボケてるんじゃない?」という言葉を比べると、「ニンチ」の方が侮辱的であるように感じます。
ということで、私は「痴呆」という言葉を敢えて使わせてもらいます。そしてそれは認知症の正しい理解にもつながるのです。

●老人性と若年性
「認知症」という言葉の問題は、認知症医療における問題につながっています。
アメリカ精神医学会の診断マニュアルでは、「Dementia」から 「Neurocognitive disorder」に用語が変更されたのですが、日本ではこの変更に伴う用語の変更をしませんでした。
私は、 前者は「痴呆」、後者は「認知障害」と訳すのが適切であると思っています。「disorder」は「障害」と訳するのが一般的であり、かつ、「症」や「病」は「病名」であるかのように誤解されるからです。
また、認知症は、若年性のものと老人性のものとを分けて考えることが必要であると思っています。そうした意味からも、若年性のものは「若年性認知障害」、老人性のものは「老人性痴呆」と使い分けることが適切であると考えます。
老人性痴呆は、加齢に伴い自然に生じる「衰え」であって、脳の「病気」と捉えないほうがいいからです。

●認知症の種類
「あなたは癌です」と告知されたら、あなたは「どこの癌ですか?」と医者に聞くと思います。それは「胃がん」と「肺がん」は別の病気であると認識しているからです。
では、「認知症です」と言われたら、次にどのような質問をするでしょうか?「どの種類の認知症ですか?」と聞くことができるでしょうか。
実は、認知症は、①アルツハイマー型認知症(50%)、②レビー小体型認知症(20%)、③前頭側頭型認知症(15%)、④脳血管性認知症(10%)、⑤その他(5%)に分類されます。
診断書の病名欄に「認知症」としか書かない医師がいるそうですが、認知症に種類があることは、あまり知られていません。
一般市民が認知症をあまり理解していなくても、これから学んでいただければよいのですが、問題は、医師が認知症を正しく理解していないことです。それは私の体験に基づいた実感です。

●中核症状と行動心理症状
認知障害というと「物忘れ」(記憶障害)をイメージすると思いますが、それだけではありません。

  • 見当識障害(時間・場所・人物がわからなくなる)
  • 失認(日用品などのものがわからない・顔がわからない)
  • 失行(衣服を身につける動作ができない、字が書けない、歩けない)
  • 遂行機能障害(料理ができない)

なども認知障害にあたります。そしてこのような症状を「中核症状」といいます。

そして、中核症状の他に、行動心理症状も生じます。従来、「周辺症状」と言われることが多かったのですが、近年では、行動心理症状とか、「BPSD」(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia) と言われるようになっています。
行動心理症状は、実に多彩です。
行動症状の例としては、徘徊、暴力、暴言、拒絶、食行動異常、性的行動、常同行動、不潔行動などがあります。
心理症状の例としては、抑うつ、不安、幻覚、妄想、猜疑心、睡眠障害などがあります。

●認知症の原因
認知症の原因も、実に様々で、脳の病気、外傷、ウィルスや細菌による感染症、内臓の病気、ホルモン分泌にかかわる病気、アルコールなどの中毒性の病気など、原因疾患は70以上もあると言われています。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというたんぱく質が脳に蓄積することが原因であると言われていますが、レビー小体型認知症は、αシヌクレインというたんぱく質が蓄積することが原因であると言われています。そして、これらのたんぱく質の蓄積を予防したり、分解したりする薬はまだ開発されていません。

医療の問題

病気の説明が長くなってしまいましたが、医療の問題の説明に移ります。
医療分野においては「認知症専門医を育成し、正しい診断と治療を行う」という施策を立てました。
脳神経外科、心療内科、神経内科、精神科などが認知症を扱いますが、どの診療科も「認知症を診る科」ではなく、「認知症も診る科」であり、認知症の専門医は非常に少ないのが現状です。認知症科という診療科はないのです。
また、若年性の認知障害は、うつ病などと誤診され、発見が遅れるケースがあります。特に「レビー小体型認知症」を診断できる医師は極めて少なく、家族会や介護現場から医師会に症例を共有するなどの方法により専門医を育てていく必要があると考えます。

「認知症は脳の病気である」という理解が画一的な薬物投与を生んでいることも問題です。
若年性の認知障害(Neurocognitive disorder)と老人性の痴呆(Dementia)を明確に区別した医療を行う必要があると思います。若年性の認知障害は、脳の変性であるという認識のもとで進行を遅らせる治療をすることは意味があるかもしれません。
しかし、老人性の痴呆は老化による不可避的・不可逆的なものであり、「病気」であるという認識のもとで行われる薬物投与は慎重に行われるべきあると考えます。薬には副作用があり、症状を悪化させたり、他の行動心理症状を引き起こす症例は数多く報告されています。

介護の問題

介護分野においては「家族や介護事業所が持つ介護ノウハウを集約し、共有する」という施策を立てました。
先に、認知症には4つの分類があると記載しましたが、これは脳の萎縮や血流低下が起きている場所の違い、あるいは、脳の変性を引き起こすタンパク質の成分の違いによる医学的な分類です。
例えば、アルツハイマーは頭頂葉に、レビー小体型認知症は後頭葉に、前頭側頭型認知症は前頭葉に変性が起こることが特徴です。
これに対して、介護の現場では、どのような行動心理症状(問題行動)が生じるかが関心事です。若年性認知障害の場合には、医学的な分類によって特徴的な症状が見られる傾向がありますが、老人性痴呆の場合には、ほとんど型の違いは見れないと言われており、回帰型、葛藤型、遊離型という、患者の人生経験や深層心理を背景とした分類が提唱されています。医療が「人体」を診るのに対して、介護は「人生」を看るものというわけです。

介護家族は、4つの心理ステップをたどると言われています。

  • 第1ステップは「とまどい・否定」です。不可解な行動にとまどい、認知症のはずがないと否定しようとします。他人に悩みを相談できず、孤立無援な状態に陥ることもあります。
  • 第2ステップは「混乱・怒り・拒絶」です。肉体的にも精神的にも疲労困憊し、認知症の人を拒絶したくなる最もつらい時期です。極限的な心理状態に陥ることもあります。
  • 第3ステップは「割り切り・あきらめ」です。介護のコツがつかめてきて、同じ認知症の症状でも、介護の負担は軽くなってきます。
  • 第4ステップは「受容」です。認知症の人への理解が深まり、認知症の人に残されたよいところに目が向くようになってきます。あるがままの家族の一員として受け入れられるようになります。

介護家族の互助組織である「家族会」は知恵の宝庫です。介護経験者の「知恵」を共有する仕組みを作っていきたいと考えています。

社会の問題

社会においては『「認知症にならない社会」ではなく、「認知症になってもいい社会」づくりを目指す』という施策を立てました。
現在の社会は、脳トレなどに代表される「認知症にならないこと」と、新薬の開発に代表される「認知症を治すこと」に対して過剰な期待を寄せているように思います。
老化に伴って認知機能が低下するのは当たり前のことであると認識して、「認知症にならない社会」ではなく、「認知症になってもいい社会」を作りたいと考えています。
行動・心理症状を異常な行動と捉えずに、そうした行為を受容・包摂していく社会にする。そのためには、認知症を正しく理解する啓発活動が必要です。

認知症ケアに必要なことは、「環境を変えない」「人間関係を変えない」「生活習慣を変えない」ことであると言われています。
「Aging in place」という言葉があります。「住み慣れた場所で自分らしい人生を全うする」という意味で、私の座右の銘です。
社会の側から見れば、地域社会で患者と家族を引き受ける仕組みを作る必要があるということです。
ただし、「社会」という主体があるわけではありません。そこにいるのは生身の「住民」です。ひとり、またひとりと、小さなつながりを少しずつ広げていきながら、「認知症カフェ」や「シニアサロン」などと言われる小さな家庭的な集まりから始めて、特定のハンディキャップを持つ人だけが集まるのではなく、雑多なニーズに応える多世代交流型の「ごちゃまぜの居場所」を作っていきたいと考えています。「ごちゃまぜの居場所」では特に子どもがいることが重要です。


  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+
PAGETOP
Copyright © 石田秀樹とともに歩む会 All Rights Reserved.